☆☆ 法 話 ☆☆
 
【 私の如是我聞 】

第44回 供花くげのこころ 更新 平成27年4月

 仏様におそなえする基本的なものに、 お仏飯ぶっぱんなどの食物、灯明、お花、お香がありますが、 そのどれをとっても、私たちの生活になくてはならないものです。
私たちのいのちを育み、うるおいをもたらしてくれるものばかりです。
このうちお花は、私たちのこころをなごませ、すがすがしい気持ちにさせてくれます。
人類は何万年も前から、死者に花をささげる習慣をもっていたといわれています。
花は人類の文化、特に宗教と 密接みっせつにかかわっていたのです。
美しいお花を、心からお敬いする仏さまに、感謝を込めてお供えするのが 供花くげですが、『仏説阿弥陀経』には、お浄土の菩薩たちは、美しい 「曼荼羅華まんだらけ」の花びらを、雨のように散らして、あらゆる仏さまを 供養すると説かれています。
このように花びらを散らすことを 散華さんげといいます。
ところで、仏壇にお供えしたお花は、同時に私たちに向けられた、仏さまのはたらきをあらわすものなのです。
お花を、私たちのほうに向けて供えるのはそのためです。
お経には、「お浄土の池には、大きな美しいはすの花が色とりどりに 咲いていて、青い花は青い光を、白い花は白い光を放っている」と説かれています。
あらゆる「いのち」は、それぞれの持ち味のままで美しく輝いているのだということを、知らせてくださっているのです。
特に蓮華れんげは、 泥沼どろぬまに咲きながら泥にそまらず、それどころか、泥沼を美しい 花園はなぞのに変えていきます。
仏さまの智慧も、私のみにくい 煩悩ぼんのうを、尊い仏さまのお徳に変えてくださるところから、蓮華を 仏さまの象徴しょうちょうとして大切にしてきました。
また、『仏説無量寿経ぶっせつむりょうじゅきょう』には、一つひとつの 蓮華から、三十六百千億という無数の光を出し、その一つひとつの光の中から、また三十六百千億の ほとけさまが現れて、それぞれ十方の世界に至って阿弥陀仏の本願を 説きひろめているといわれています。
お仏壇にお供えした花を通して、お浄土の花を想い、阿弥陀さまのご本願のはたらきを、味わわせていただきましょう。
 では最後に、ご一緒にお念仏申しましょう。
南無阿弥陀仏・・・・。

※『朗読法話集(第一集)』(本願寺出版社 1,300円 電話 075-371-4171)
読経だけでなく、少しでも、み教えを味わっていただけるようにとの願いから、本願寺から刊行されました。
※本書は「仏の教え」「浄土真宗の教え」「特別法話」「荘厳・仏事・作法」の四種類に分類しています。一つの法話で ひとつの内容を味わっていただけるよう編集されています。
※ご法座の最後は、「では最後にご一緒にお念仏申しましょう」といって、一同がお念仏を申しながら、 合掌礼拝して終了します。


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