《 聖典の講座 》
 
『無常迅速 生死の事大なり』

  
第81回 第三条 善人なおもつて往生おうじょうをとぐ 更新 平成30年5月

 善人ぜんにんでさえ 浄土じょうど往生おうじょうすることができるのです。
まして悪人あくにんはいうまでもありません。
ところが 世間せけんひと普通ふつう、 「悪人あくにんでさえ 往生おうじょうするのだから、まして 善人ぜんにんはいうまでもない」といいます。
 これは一応いちおうもっともなようですが、 本願他力ほんがんたりきすくいのおこころに はんしています。
なぜなら、 自力じりきおさめた ぜんによって 往生おうじょうしようとする ひとは、ひとすじに 本願ほんがんのはたらきを しんじる こころけているから、 阿弥陀仏あみだぶつ本願ほんがんにかなっていないのです。
しかしそのような ひとでも、 自力じりきにとらわれた こころをあらためて、 本願ほんがんのはたらきにおまかせするなら、 真実しんじつ浄土じょうど往生おうじょうすることができるのです。
 あらゆる 煩悩ぼんのうにそなえているわたしどもは、どのような 修行しゅぎょうによっても まよいの 世界せかいをのがれることはできません。
阿弥陀仏あみだぶつは、それをあわれに おもわれて 本願ほんがんをおこされたのであり、そのおこころはわたしどものような 悪人あくにんすくいとって ほとけにするためなのです。
ですから、この 本願ほんがんのはたらきにおまかせする 悪人あくにんこそ、まさに 浄土じょうど往生おうじょうさせていただく いんつものなのです。
 それで、 善人ぜんにんでさえも 往生おうじょうするのだから、まして 悪人あくにんはいうまでもないと、 聖人しょうにんおおせになりました。




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