《 聖典の講座 》
　
『無常迅速　生死の事大なり』
　　

第78回

序　ひそかに愚案（ぐあん）を 回（めぐ）らして

更新

平成30年2月

　わたしなりにつたない思（おも）いをめぐらして、 親鸞聖人（しんらんしょうにん）がおいでになったころと 今（いま）とをくらべてみますと、このごろは、 聖人（しょうにん）から直接お聞きした 真実（しんじつ）の 信心（しんじん）とは 異（こと）なることが 説（と）かれていて、 歎（なげ）かわしいことです。
これでは、 後（のち）のものが 教（おし）えを 受（う）け 継（つ）いでいくにあたり、さまざまな 疑（うたが）いや 迷（まよ）いがおきるのではないかとおもわれます。
幸（さいわ）いにも 縁（えん）あって、まことの 教（おし）えを 示（しめ）してくださる 方（かた）に 出会（であ）うことがなかったなら、どうしてこの 易行（いぎょう）の 道（みち）に 入（はい）ることができるでしょうか。
決（けっ）して、 自分勝手（じふんかって）な 考（かんが）えにとらわれて、 本願他力（ほんがんたりき）の 教（おし）えのかなめを 思（おも）い 誤（あやま）ることがあってはなりません。
　そこで、 今（いま）は 亡（な）き 親鸞聖人（しんらんしょうにん）が お聞（き）かせくださった お言葉（ことば）のうち、 耳（みみ）の 底（そこ）に 残（のこ）って 忘（わす）れられないものを、 少（すこ）しばかり 書（か）き 記（しる）すことにします。
これはただ、 同（おな）じ 念仏（ねんぶつ）の 道（みち）を 歩（あゆ）まれる 人々（ひとびと）の 疑問（ぎもん）を 取（と）り 除（のぞ）きたいからです。

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