《 聖典の講座 》
 
『無常迅速 生死の事大なり』

  
第76回 無上甚深章むじょうじんじんしょう大意たいい 更新 平成29年12月

 南無阿弥陀仏の名号みょうごうは、 わずか 六字ろくじですから、 それほどのはたらきがあるとは思えませんが、この 六字ろくじ名号みょうごうにはこの上ない深い 功徳くどく利益りやくがあり、その 広大こうだいなことははかりしれません。
信心しんじんを得るということも、この 六字ろくじにあるのであり、それ以外にあるわけではありません。
善導大師ぜんどうだいしは、南無阿弥陀仏の 六字ろくじしゃくして、 帰命きみょう発願回向ほつがんえこうぎょうという三つのいわれを示されました。
これは、私たちのような 煩悩ぼんのうをそなえた身であっても、 阿弥陀如来あみだにょらい帰命きみょうすれば、かならずお救いくださるということを 述べられたものです。
帰命きみょう」とは、おたすけくださいとおまかせすることであり、 「発願回向ほつがんえこう」とは 二心ふたごころなく 阿弥陀如来あみだにょらいにおまかせする 衆生しゅじょうに、この上ない 功徳くどくを与えてくださることです。
 そのため、私たちがはかり知れない昔からつくりつづけてきた つみのさわりはことごとく消え、浄土に生まれてさとりをひらく仲間に 入ることができるのであり、そこで、南無阿弥陀仏の六字は、私たちが浄土に往生するいわれをあらわしていると知ることができます。
このように信心とは、六字の名号のいわれをよく心得ることをいうのです。
この六字の名号のいわれを心得たものを他力の信心を得た人というのです。
南無阿弥陀仏の六字には、このようなすぐれたいわれがあるのですから、疑いなく深く信じるべきです。


※『御文章ごぶんしょう ひらがなばん拝読はいどくのためにー』(本願寺出版社 定価:\756(本体\700+税) 電話 075-371-4171)

  蓮如上人五百回遠忌法要れんによしょうにんごひゃっかいおんきほうよう記念きねんして 『御文章ごぶんしょうーひらがなばん』が ご制定せいていになりました。
本書ほんしょ は、この『御文章ごぶんしょう』を 有縁うえん方々かたがたが、 ただしく 拝読はいどくし、 おきくださった 趣旨しゅしをよく ご理解りかいいただくように 配慮はいりょして 制作せいさくした 解説書かいせつしょです。
御文章ごぶんしょう』は、 蓮如上人れんにょしょうにん浄土真宗じょうどしんしゅうの みおしえの 精髄せいずいを、 人々ひとびと生活せいかつそくしてわかりやすく おきになり、 幾百星霜いくひゃくせいそう脈々みゃくみゃく今日こんにちつたえられてまいりました 宗門しゅうもん大切たいせつ御聖教おしょうぎょうであります。
蓮如上人御一代記聞書れんにょしょうにんごいちだいきききがき』に、 「『御文章ごぶんしょう』は、 凡夫ぼんぶ浄土じょうど往生おうじょうする みちあきらかに うつかがみ」【一七七条】であり、また 「毎日まいにち、 『御文章ごぶんしょう』の とうとい お言葉ことばかせていただくことは、そのつど たから頂戴ちょうだいするようなもの」【二八八条】であると べられている 所以ゆえんです。
本書ほんしょ編集へんしゅう浄土真宗教学研究所じょうどしんしゅうきょうがくけんきょうしょ担当たんとういたしましたが、 勤式指導所ごんしきしどうしょ協力きょうりょくて、 拝読はいどく方法ほうほう考慮こうりょして 本文ほんぶんにわかりやすい 仮名がな拝読符号はいどくふごうし、 研究所けんきゅうしょにおいて、 脚註きゃくちゅう巻末註かんまつちゅうもうけて、 各通かくつう大意たいい解説かいせつするなどの 措置そちこうじました。
本書ほんしょを、 ご制定せいていの 『御文書ごぶんしょうーひらがなばん拝読はいどく手引てびきとして、いつでもどこでも ひもとき、 活用かつよういただくことを 念願ねんがんいたします。

 平成十年十一月十三日
 浄土真宗教学研究所所長
    石田慶和
【「刊行にあたって」より 抜粋】


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