《 聖典の講座 》
 
『無常迅速 生死の事大なり』

  
第68回 大阪建立章おおざかこんりゅうしょう大意たいい 更新 平成29年4月

 この摂津せっつ生玉いくたまの  荘内大阪しょうないおおざか坊舎ぼうしゃを建てて、もう三年が過ぎました。
 この場所に住んでいるのは、一生を 安穏あんのんに過ごし、華やかでぜいたくな生活をしたり、また花鳥風月などに心をよせるためでは ありません。
信心を 決定けつじょうする人も増え、念仏する人々が多く育ってほしいと思うばかりです。
もし少しでもとらわれをもって、無理難題をいうような人があるようなら、この地にとどまろうとは思わずにすぐに離れるべきであります。
僧侶そうりょであるか 俗人ぞくじんであるかなどに関係なく、信心を決定することこそが、 阿弥陀如来や、ことに親鸞聖人しんらんしょうにんのご本意に沿うものでありましょう。
 私も八十四歳になりましたが、この夏ごろから体調が悪くなり、快復のきざしがありません。
この冬にはきっと往生の素懐そかいをとげることになるでしょう。
それにつけても、生きているうちに、みなが信心決定するようにと、朝な夕なそのことばかりを思っています。
信心を得ることは、人間のはからいによることではありませんが、いつもそのことを思っています。
どうか、この七日間の報恩講において、だれもが信心を決定して、ともどもに浄土往生をとげたいものです。



※『御文章ごぶんしょう ひらがなばん拝読はいどくのためにー』(本願寺出版社 定価:\756(本体\700+税) 電話 075-371-4171)

  蓮如上人五百回遠忌法要れんによしょうにんごひゃっかいおんきほうよう記念きねんして 『御文章ごぶんしょうーひらがなばん』が ご制定せいていになりました。
本書ほんしょ は、この『御文章ごぶんしょう』を 有縁うえん方々かたがたが、 ただしく 拝読はいどくし、 おきくださった 趣旨しゅしをよく ご理解りかいいただくように 配慮はいりょして 制作せいさくした 解説書かいせつしょです。
御文章ごぶんしょう』は、 蓮如上人れんにょしょうにん浄土真宗じょうどしんしゅうの みおしえの 精髄せいずいを、 人々ひとびと生活せいかつそくしてわかりやすく おきになり、 幾百星霜いくひゃくせいそう脈々みゃくみゃく今日こんにちつたえられてまいりました 宗門しゅうもん大切たいせつ御聖教おしょうぎょうであります。
蓮如上人御一代記聞書れんにょしょうにんごいちだいきききがき』に、 「『御文章ごぶんしょう』は、 凡夫ぼんぶ浄土じょうど往生おうじょうする みちあきらかに うつかがみ」【一七七条】であり、また 「毎日まいにち、 『御文章ごぶんしょう』の とうとい お言葉ことばかせていただくことは、そのつど たから頂戴ちょうだいするようなもの」【二八八条】であると べられている 所以ゆえんです。
本書ほんしょ編集へんしゅう浄土真宗教学研究所じょうどしんしゅうきょうがくけんきょうしょ担当たんとういたしましたが、 勤式指導所ごんしきしどうしょ協力きょうりょくて、 拝読はいどく方法ほうほう考慮こうりょして 本文ほんぶんにわかりやすい 仮名がな拝読符号はいどくふごうし、 研究所けんきゅうしょにおいて、 脚註きゃくちゅう巻末註かんまつちゅうもうけて、 各通かくつう大意たいい解説かいせつするなどの 措置そちこうじました。
本書ほんしょを、 ご制定せいていの 『御文書ごぶんしょうーひらがなばん拝読はいどく手引てびきとして、いつでもどこでも ひもとき、 活用かつよういただくことを 念願ねんがんいたします。

 平成十年十一月十三日
 浄土真宗教学研究所所長
    石田慶和
【「刊行にあたって」より 抜粋】


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本願寺出版社




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