《 聖典の講座 》
 
『無常迅速 生死の事大なり』

  
第60回 易往無人章いおうむにんしょう大意たいい 更新 平成28年8月

 
人間に生まれることは 五戒ごかいをたもった 功徳くどくによるのであり、まことにまれなことです。
しかし、人生は短くはかないもので、たとえ栄華をほこっても、 盛者必衰会者定離じょうしゃひっすいえしゃじょうりのならいで久しく続くものではなく、 しかも老少不定ろうしょうふじょうなのですから、人の世はあてになりません。
ですから、私たちは他力の信心を得て、浄土往生を願うべきなのです。
その信心を得るには、智慧ちえも学識も必要ではなく、貧富や善悪や男女といった違いも一切関係なく、 ただ自力のはからいを捨て、二心ふたごころなく阿弥陀如来をたのむばかりです。
み仏はこのように信じるものを光明こうみょうの中におさめとって、命が終わればかならず浄土に 生まれさせてくださるのです。
この信心一つで浄土に往生することのたやすさから、
安心あんじん」というのです。
大経だいきょう』の 「易往而無人いおうにむにん」というのは、信心を得れば浄土往生するのは易しいが、信心を得る人が まれであるから、浄土には往きやすいが人がいないということです。
このように信心のいわれを心得た後に私たちとなえる念仏はすべて、本願のはたらきによって お救いくださるご恩を報じるものです。
仏法をよく聞いて、なんのはからいもいらない信心のいわれを知り、浄土往生をとげるように心がけなさい。


※『御文章ごぶんしょう ひらがなばん拝読はいどくのためにー』(本願寺出版社 定価:\756(本体\700+税) 電話 075-371-4171)

  蓮如上人五百回遠忌法要れんによしょうにんごひゃっかいおんきほうよう記念きねんして 『御文章ごぶんしょうーひらがなばん』が ご制定せいていになりました。
本書ほんしょ は、この『御文章ごぶんしょう』を 有縁うえん方々かたがたが、 ただしく 拝読はいどくし、 おきくださった 趣旨しゅしをよく ご理解りかいいただくように 配慮はいりょして 制作せいさくした 解説書かいせつしょです。
御文章ごぶんしょう』は、 蓮如上人れんにょしょうにん浄土真宗じょうどしんしゅうの みおしえの 精髄せいずいを、 人々ひとびと生活せいかつそくしてわかりやすく おきになり、 幾百星霜いくひゃくせいそう脈々みゃくみゃく今日こんにちつたえられてまいりました 宗門しゅうもん大切たいせつ御聖教おしょうぎょうであります。
蓮如上人御一代記聞書れんにょしょうにんごいちだいきききがき』に、 「『御文章ごぶんしょう』は、 凡夫ぼんぶ浄土じょうど往生おうじょうする みちあきらかに うつかがみ」【一七七条】であり、また 「毎日まいにち、 『御文章ごぶんしょう』の とうとい お言葉ことばかせていただくことは、そのつど たから頂戴ちょうだいするようなもの」【二八八条】であると べられている 所以ゆえんです。
本書ほんしょ編集へんしゅう浄土真宗教学研究所じょうどしんしゅうきょうがくけんきょうしょ担当たんとういたしましたが、 勤式指導所ごんしきしどうしょ協力きょうりょくて、 拝読はいどく方法ほうほう考慮こうりょして 本文ほんぶんにわかりやすい 仮名がな拝読符号はいどくふごうし、 研究所けんきゅうしょにおいて、 脚註きゃくちゅう巻末註かんまつちゅうもうけて、 各通かくつう大意たいい解説かいせつするなどの 措置そちこうじました。
本書ほんしょを、 ご制定せいていの 『御文書ごぶんしょうーひらがなばん拝読はいどく手引てびきとして、いつでもどこでも ひもとき、 活用かつよういただくことを 念願ねんがんいたします。

 平成十年十一月十三日
 浄土真宗教学研究所所長
    石田慶和
【「刊行にあたって」より 抜粋】


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本願寺出版社




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