《 聖典の講座 》
 
『無常迅速 生死の事大なり』

  
第59回 数珠章じゅずしょう大意たいい 更新 平成28年7月


この三・四年の間、ここに集まる念仏者を見ていると、他力の信心の 決定けつじょうしている様子がありません。
念珠一連を持つ人もなく、み仏をうやまう気持ちが欠けているようです。
親鸞聖人しんらんしょうにんは、念珠を捨ててみ仏を拝めと おっしゃったことはありません。
もちろん、浄土往生のためには、念珠を持たなくても、他力の信心一つで十分です。
しかし、住職たるものは、袈裟けさをもかけ、 念珠も持って礼拝らいはいし、み仏をうやまう気持ちをおもてに出してもよいでしょう。
そのことを縁として、真実信心をいただいた人は、かならず口に念仏をとなえ、 またふるまいにも信心を得ているようすがあらわれるものです。
しかし、真実信心を得ている人はいたって少ないように思われます。
それは、み仏の本願の尊さをわが身に受けとっていないからです。
信心についてよく心得ているような顔をして、なにを聞いてもしっかり耳に入らず、ただ人まねばかりをしているというありさまです。
これでは自分の往生もあやうく、ましてご門徒やお同行どうぎょうの教化などできるはずはありません。
そのような心では、このたびの浄土往生はかないません。
なんとも気の毒なことです。
よくよく考えてください。
人間はまことにはかないものです。
決して油断せずに、仏法を聴聞ちょうもんして信心を決定するように心がけるべきです。


※『御文章ごぶんしょう ひらがなばん拝読はいどくのためにー』(本願寺出版社 定価:\756(本体\700+税) 電話 075-371-4171)

  蓮如上人五百回遠忌法要れんによしょうにんごひゃっかいおんきほうよう記念きねんして 『御文章ごぶんしょうーひらがなばん』が ご制定せいていになりました。
本書ほんしょ は、この『御文章ごぶんしょう』を 有縁うえん方々かたがたが、 ただしく 拝読はいどくし、 おきくださった 趣旨しゅしをよく ご理解りかいいただくように 配慮はいりょして 制作せいさくした 解説書かいせつしょです。
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蓮如上人御一代記聞書れんにょしょうにんごいちだいきききがき』に、 「『御文章ごぶんしょう』は、 凡夫ぼんぶ浄土じょうど往生おうじょうする みちあきらかに うつかがみ」【一七七条】であり、また 「毎日まいにち、 『御文章ごぶんしょう』の とうとい お言葉ことばかせていただくことは、そのつど たから頂戴ちょうだいするようなもの」【二八八条】であると べられている 所以ゆえんです。
本書ほんしょ編集へんしゅう浄土真宗教学研究所じょうどしんしゅうきょうがくけんきょうしょ担当たんとういたしましたが、 勤式指導所ごんしきしどうしょ協力きょうりょくて、 拝読はいどく方法ほうほう考慮こうりょして 本文ほんぶんにわかりやすい 仮名がな拝読符号はいどくふごうし、 研究所けんきゅうしょにおいて、 脚註きゃくちゅう巻末註かんまつちゅうもうけて、 各通かくつう大意たいい解説かいせつするなどの 措置そちこうじました。
本書ほんしょを、 ご制定せいていの 『御文書ごぶんしょうーひらがなばん拝読はいどく手引てびきとして、いつでもどこでも ひもとき、 活用かつよういただくことを 念願ねんがんいたします。

 平成十年十一月十三日
 浄土真宗教学研究所所長
    石田慶和
【「刊行にあたって」より 抜粋】


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本願寺出版社




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