《 聖典の講座 》
 
『無常迅速 生死の事大なり』

第42回 生死を超える道(一) 更新 平成27年2月
(偈文) 
しんうやまおおきに 慶喜きょうきすれば、 すなはちおう五悪趣ごあくしゅ超截ちょうぜつす。
         (第四十二話〜第四十三話)
 親鸞聖人は、二十年もの長い間、比叡ひえいの山で ひたすら学問修行に励まれました。
煩悩ぼんのうを克服し、清らかな 智慧ちえを体得して、迷いから離れさとりの境地に到達しようと 必死の努力をされたのです。
その点はすばらしいことでした。
修行の姿は尊いものでした。
しかし、めざすさとりの境地に到達することはできませんでした。
それどころか、修行をすればするほど、自分を十重二重にしめつける 煩悩ぼんのうに気づかれたのでした。
煩悩ぼんのうの束縛からのがれることのできない苦悩の 深渕しんえんにたたずまれたのでした。
人間のごうの深さを痛感されました。
いずれの行も及びがたい自分であることに気づかれた聖人は、意を決して法然上人をたずね、法然上人の導きによって 本願ほんがんの教えに帰入されたのでした。 
阿弥陀如来あみだにょらいのお力によって 信心しんじんをめぐまれ、迷いの世界のきずなを断ち切って、さとりの 世界に入るべき身にさせていただくという、 本願ほんがんの教えに生きる人になられたのです。
阿弥陀如来あみだにょらいのお救いにまかせて、 阿弥陀如来あみだにょらいに導かれ、 まもられて、お浄土への道を歩むよろこびを身に得られた 親鸞聖人のよろこび、そして、私たちにも同じ道を歩ませようと願っておられる聖人の呼び声が、今、私たちの耳にひびいています。
聖人のお言葉を受けとめて、自分の生き方をどのように方向づけたらよいのか、よく考えてみましょう。

(話題) 
親鸞聖人が比叡山ひえいざんを下りて法然上人をたずねられたときの 様子について話し合いましょう。

※『朗読法話集(第二集)』(本願寺出版社 1.200円 電話 075-371-4171)【『朗読法話集(第二集) 正信偈のこころ』として本願寺より刊行されています。】
この本は 「正信偈念仏偈しょうしんねんぶつげ」の 依経段えきょうだん を50編に分け、一つのテーマでひとつの内容を味わっていただけるようになっています。
※本書を朗読し、自分自身が味わいを深めていきたいものです。



今生最後と思うべし 一このたびのこのご縁は 我一人の為と思うべし 一このたびのこのご縁は 初事と思うべし 一このたびのこのご縁は 聴聞の心得


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