《 聖典の講座 》
 
『無常迅速 生死の事大なり』

第37回 平等のお救い 更新 平成26年9月

(偈文) 
凡聖・逆謗斉ぼんしょうひとしく 回入えにゅうすれば、 衆水海しゅうすいうみりて 一味いちみなるがごとし。
         (第三十七話)

 
 「苦しみ悩むすべての衆生しゅじょうを救う」、 これが 阿弥陀如来あみだにょらい本願ほんがんです。
老いも若きも、男子も女子も、善人も悪人も平等にお救いくださる 阿弥陀如来あみだにょらい本願ほんがんです。
たとえば、海には多くの川の水が流れ込んできます。
どの川の水も真水です。
それが海に流れ込みますと、全部同一の塩水になってしまいます。
 この道理と同じように、どのような 極悪ごくあくの人でも、 修行の徳を積んでいない私たちのような平凡な人間も、徳高く 智慧ちえすぐれた 聖者せいじゃも、 老少善悪を問わず、本願ほんがんを信ずる人は、 わけへだてなく、一味平等いちみびょうどうに 仏の功徳くどく智慧ちえをいただくのです。
たとえ教えをそしっていた人であっても、心を転じて 本願ほんがんを信ずるようになったならば、 平等にお救いにあずかるのです。
念仏者という平等の道を歩み、 浄土往生じょうどおうじょうという平等のさとりを得る、 これが浄土真宗の教えです。
「念仏の声を 世界に子や孫に」
というスローガンの目ざすところもここにあります。
自分の幸せだけを願って、他をかえりみる心を失いがちな昨今の風潮であり、自分の生命は大切にしても他人の生命は 軽視しがちな近ごろの情勢ですが、自分も他人も、共に幸せになるように願って生きてゆく心をもたなくてはなりません。


(話題) 差別なき世界とはどんな世界でしょうか。そのために、今、私たちはなにをなすべきでしょうか。


※『朗読法話集(第二集)』(本願寺出版社 1.200円 電話 075-371-4171)【『朗読法話集(第二集) 正信偈のこころ』として本願寺より刊行されています。】
この本は 「正信偈念仏偈しょうしんねんぶつげ」の 依経段えきょうだん を50編に分け、一つのテーマでひとつの内容を味わっていただけるようになっています。
※本書を朗読し、自分自身が味わいを深めていきたいものです。



今生最後と思うべし 一このたびのこのご縁は 我一人の為と思うべし 一このたびのこのご縁は 初事と思うべし 一このたびのこのご縁は 聴聞の心得


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