《 聖典の講座 》
 
『無常迅速 生死の事大なり』

     
第139回  蓮如上人御一代記聞書れんにょしょうにんごいちだいきききがき新釋 更新 2023年3月

 (九) 解知げち信知しんち
 他力の 願行がんぎょうをひさしく身にたもちながら、よしなき自力の 執心しゅうしんにほだされて、むなしく 流転るてんしけるなりと候を、え存ぜずさふらふよし、まうしあげ候ところに、 おおせに、ききわけて、え信ぜぬもののことなりと、 おおせられ候き。

 【意訳】
  『安心決定鈔あんじんけつじょうしょう』に 「他力の 願行がんぎょうをひさしく身にたもちながら、役にもたたぬ自力の 執拗しつような心に ひきずられて、むなしく 流転るてんしてきたのである」とあることが どうもわかりませぬと 空善くうぜんが申しあげたところ、 蓮如上人れんにょしょうにんは「それは、 本願名号ほんがんみょうごうのいわれをききわけただけで、わが救いのすがたとして 信受しんじゅしないものの風情である」と おおせられた。
 
 【解説】
 聞きわけたのと 信じたのとは大きな違いである。
 ただ 通理どうりを知っただけでは 理屈りくつであって 信心しんじんではない。
  往生一定御おうじょういちじょうおんたすけ 治定じじょうと、 名号みょうごう領受りょうじゅして 安堵あんどしたのが 信心しんじんである。
 これは 解知げち信知しんち分別ふんべつされた 示教しきょうである。



※『蓮如上人御一代記聞書れんにょしょうにんごいちだいきききがき新釋』 
    梅原真隆うめはらしんりゅう
本願寺出版社
電話 075-371-4171
 

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