《 聖典の講座 》
 
『無常迅速 生死の事大なり』

     
第133回  蓮如上人御一代記聞書れんにょしょうにんごいちだいきききがき新釋 更新 2022年9月

 (三) 和讃の法味ほうみ
 
 御つとめのとき、順誓御わすれあり、南殿へ御かへりありて仰に、聖人御すすめの和讃、あまりにあまりに殊勝にて、あげばをわすれたりと仰そふらひき。
 ありがたき御すすめを信じて、往生するひとすくなしと、御述懐なり。
 
 
 【意訳】 ある日の 勤行ごんぎょうの時、 蓮如上人れんにょしょうにん和讃わさん順讃じゅんさん 【巡讃】をお忘れになった。
 南殿におかえりになって仰せられるには、 「御開山聖人の 御勧化おすすめくださる 和讃わさんが、あまりにすぐれてかたじけないので、それに気をとられて、つい、うっかりと順讃【巡讃】の 調声ちょうしょうする順序を忘れたのであった。
 こういう有難い御勧化であるのに、これを信じて、浄土に往生する人数のすくないことは悲しいことである」とおなげきなされたことである。
 【解説】  儀礼ぎれいが全く  きた信仰の 表現あらわれとなっている蓮如上人の風格が、趣きふかくあらわれている。
 そして やすくして人なき修道の低調なことを悲嘆されてあるところにも、上人の親切があらわれている。  



※『蓮如上人御一代記聞書れんにょしょうにんごいちだいきききがき新釋』 
    梅原真隆うめはらしんりゅう
本願寺出版社
電話 075-371-4171
 

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