☆☆ 法 話 ☆☆
 
【 私の如是我聞 】

第8回 「足るを知る」 更新 平成24年4月

 お経の中に「小欲知足しょうよくちそく」ということが説かれています。「少欲」とは少ない欲、つまり欲望をおさえるということです。 「知足」とは、足るを知るということです。
私たちにはなるべく楽をしたい、おいしい物を食べたい、いいものを持ちたいなど、たくさんの欲望があります。それだからこそ、少しでも、よい環境を求め、物を作り出す努力をし、すばらしい将来を希望するのです。その結果として進歩というものがあるといえましょう。
しかし、この欲望は、次から次へといてきて、とどまるところがありません。欲望を満たすためにあくせくし、みにくい争いも起きます。お釈迦さまは、それを、「求めても得られない苦しみ」であるといわれました。そして、その欲望になりふりかまわず身をまかせていくのではなく、欲望をなるべくおさえ、今、こうして与えられているものの価値を見出していくことが、重要であると、教えてくださったのです。
考えてみると、私たちには、ずいぶん多くのものが与えられています。しかし、それに気づくことなく、つぎつぎに、それ以外の欲望を満足させるためのものを求めて生きているのが、今の私たちの姿ではないでしょうか。
自然から受けている数限りない恩恵、得がたくして得ている「いのち」や、人びとから好意に気づき、欲望をおさえていくことが、仏教そして、仏教徒としての第一歩でしょう。
欲望にしばられ、自己を見失うことのないよう、ほんとうに私を生かしてくれるものを、見過ごすことのないよう、さらには、おかげさまでと感謝し、身をつつしむことが大切であることを、仏教は教えているのです。
 では最後に、ご一緒にお念仏申しましょう。南無阿弥陀仏・・・・。

※『朗読法話集(第一集)』(本願寺出版社 1,300円 電話 075-371-4171)
読経だけでなく、少しでも、み教えを味わっていただけるようにとの願いから、本願寺から刊行されました。
※本書は「仏の教え」「浄土真宗の教え」「特別法話」「荘厳・仏事・作法」の四種類に分類しています。一つの法話で ひとつの内容を味わっていただけるよう編集されています。
※ご法座の最後は、「では最後にご一緒にお念仏申しましょう」といって、一同がお念仏を申しながら、 合掌礼拝して終了します。




今生最後と思うべし 一このたびのこのご縁は 我一人の為と思うべし 一このたびのこのご縁は 初事と思うべし 一このたびのこのご縁は 聴聞の心得


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