☆☆ 法 話 ☆☆
【 私の如是我聞 】
阿弥陀如来さまのご本願は、すべてのものを分け
隔て
なく救おうという、平等の
慈悲を
あらわされたものです。そのご本願を聞いて、疑いなく受け入れる信心の起こるとき、自分も人も、如来さまの大きな
慈愛に
包まれている身であることを知らされます。そして、私どもはみな、阿弥陀如来さまという共通の
み親を
持つ兄弟であり、
友・
同朋であることに
気付くようになります。
このような信心は、私どもの、ものの考え方や生き方を変えていきます。如来様のお慈悲の光に照らされて、わが身を
省みるとき、
人のことよりも自分の都合ばかりを優先させている、自分本位の生き方の浅ましさを、思い知らされるからです。
もともと、如来さまの慈悲の
慈とは、
すべての人々に、まことの幸せを与えようと願ってくださる心であり、
悲とは、
人々の悲しみを、わがこととして痛み、その苦しみを取り除こうと願ってくださる心でした。このような如来さまの大きなお慈悲に感動し、そのお徳を
讃嘆する
信心の行者は、今までの自分本位の生き方を改めて、同朋の苦悩をみずからの痛みとして分かち合い、行動するような人間に育てられていくのです。
そうした願いを持つとき、私どもの社会が、数多くの問題を抱えていることが見えてきます。如来様のお慈悲の光に包まれている一人ひとりの「いのち」のかけがえのない尊さを知らせていただくにつけても、現実に「いのち」の
尊厳を
傷つけている部落差別をはじめ、人種差別・性差別・障碍者差別など、さまざまな差別は決して見過ごすことのできない問題です。
なかでも部落差別の解決は重大な課題です。部落差別をなくするために、多くの人々による真剣な解放運動が展開されていますが、現に国に対して
「部落解放基本法」の
制定を要求して、国民的規模でくりひろげています。私どもの本願寺派も、教団を
挙げて
この問題に取り組んでいることはご承知の通りです。
「いのち」の尊厳を傷つけるようなあらゆる差別をなくし、みんなが平等に心豊かに生きることのできる、平和な
御同朋の
社会の実現をめざすことは、如来さまから「いのち」のかけがえのない尊さを知らせていただいたものが、みずからの信心の「しるし」として、積極的に取り組まねばならない課題なのです。
如来さまから
頂戴した
信心を、ただ
自己の
内面だけに留めておかないで、同朋の苦難の解消に積極的にかかわり、社会のさまざまな差別の現実を、少しずつでも改善しようと努力するのが、「仏の大悲心を学ぶ」信心の
行者の
つとめであります。
では最後に、ご一緒にお念仏申しましょう。南無阿弥陀仏・・・・。
※『朗読法話集(第一集)』(本願寺出版社 1,300円 電話 075-371-4171)
読経だけでなく、少しでも、み教えを味わっていただけるようにとの願いから、本願寺から刊行されました。
※本書は「仏の教え」「浄土真宗の教え」「特別法話」「荘厳・仏事・作法」の四種類に分類しています。一つの法話で
ひとつの内容を味わっていただけるよう編集されています。
※ご法座の最後は、「では最後にご一緒にお念仏申しましょう」といって、一同がお念仏を申しながら、
合掌礼拝して終了します。
|
今生最後と思うべし |
一このたびのこのご縁は |
我一人の為と思うべし |
一このたびのこのご縁は |
初事と思うべし |
一このたびのこのご縁は |
聴聞の心得 |
トップページへ
法話に戻る
書庫をみる