《 聖典の講座 》
 
『無常迅速 生死の事大なり』

第13回 法蔵菩薩【ほうぞうぼさつ】 更新 平成24年9月

 親鸞聖人は、 正信偈しょうしんげのはじめに、
帰命無量寿如来きみょうむりょうじゅにょらい  南無不可思議光なもふかしぎこう」と、
阿弥陀如来あみだによらいに 救われたご自分のよろこびをお述べになりました。
正信偈しょうしんげでは、 つづいて 「仏説無量寿経ぶっせつむりょうじゅきょう」によって、 聖人が 帰依きえされた 阿弥陀如来あみだにょらいとは どんな仏さまなのかを、お示しくださいましたから、これを 「依経段えきょうだん」といっています。
経典によると、 阿弥陀如来あみだにょらいは、 仏さまとなられる以前は 法蔵菩薩ほうぞうぼさつという 一求道者いちぐどうしゃでした。
法蔵菩薩ほうぞうぼさつは、 すべての人びとを救う仏になりたいと願われて、 世自在王仏せじざいおうぶつという仏さまに、 どのようにすれば師のような立派な仏になることができるのかとおたずねになりました。
世自在王仏せじざいおうぶつは、 法蔵菩薩ほうぞうぼさつの なみなみならぬ決心をみとおされ、多くの仏の国々を ことごとくおみせになり、 また、それらの国々に生れる方法も教えられました。
法蔵菩薩ほうぞうぼさつは、 これによって、 五劫ごこうの あいだ考慮に考慮を重ねて、その中でよくないところは選び捨て、 よいところは選び取って、この上もないすぐれた 四十八願しじゅうはちがんを 建てられ、これを 完遂かんすいするために 永劫ようごうのあいだ 修行されたのです。
 その結果、今から 十劫じゅっこうの昔に、 阿弥陀如来あみだにょらいという仏になられて、 私たち 衆生しゅじょうを 救う活動をしてくださっている、と経典には記されています。
阿弥陀如来あみだにょらいの 本願は迷いの海に沈んでいる私たちをお救いくださる本願ですから、聖人は、そのすばらさしをたたえて、
無上殊勝の願むじょうしゅしょうのがん」、 「稀有の大弘誓けうのだいぐぜい」と 仰せになったのです。

(話題)
 迷いの海に沈んでいる私とは、どんな私でしょうか。


※『朗読法話集(第二集)』(本願寺出版社 1.200円 電話 075-371-4171)【『朗読法話集(第二集) 正信偈のこころ』として本願寺より刊行されています。】
この本は 「正信偈念仏偈しょうしんねんぶつげ」の 依経段えきょうだん を50編に分け、一つのテーマでひとつの内容を味わっていただけるようになっています。
※本書を朗読し、自分自身が味わいを深めていきたいものです。



今生最後と思うべし 一このたびのこのご縁は 我一人の為と思うべし 一このたびのこのご縁は 初事と思うべし 一このたびのこのご縁は 聴聞の心得


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