《 聖典の講座 》
 
『無常迅速 生死の事大なり』

第12回 親鸞聖人の呼びかけ 更新 平成24年8月

 七高僧しちこうそうのお一人である 善導大師ぜんどうだいし

人間怱々にんげんそうそうとして 衆務しゅむいとなみ、 年命ねんみょう日夜にちやることを おぼえず。 ともしび風中ふうちゅうにありて めつすること しがたきがごとし。
 
            (『注釈版聖典』七祖篇六六九頁)
とおっしゃっています。
人間は毎日忙しく仕事をし、自分の命がなくなっていくことに気づかない、 ちょうど灯火が風の中でいつ消えるともしれないようなものである、という意味です。
人の一生はしばしば旅にたとえられます。 昔の旅人が、いろいろの苦難にあいながら、ひたすら歩み続けた孤独な旅、それはまさしく私たちの人生といえるでしょう。
一寸先は やみと言いますが、 明日どんなことが起きるか、全く予想できません。未知の未来に向かってひたすら歩み続ける私、 さまざまな悲しみや苦しみに一喜一憂し、時には挫折しそうになることすらあります。
そのとき、私たちを支えるものは一体何でしょうか。 悲しみ苦しみの人生を、確かな足どりで、一歩一歩あゆみ続けるにはどうすればよいのでしょうか。
親鸞聖人は九十年のご生涯において、 阿弥陀如来あみだにょらいい、 確かな よりどころを 見出し、一歩一歩よろこびの中に生き続けられました。
阿弥陀如来あみだによらいは、いつでも、どこでも、誰でもきっと お救いくださる仏さまです。
善導大師ぜんどうだいしは、 さきほどの文章につづいて、

おのおのけ。 強健有力ごうこんうりきとき自策自励じさくじれいして 常住じょうじゅうもとめよ。

と言われています。

うつろう世に、移り変わるものに心を託して生きているのが私たちの現実の姿です。
親鸞聖人は「変わらないもの、確かなものに、 よりどころを 見出して生きよ」と私たちに呼びかけていて下さっているのです。
 
(話題)
 あなたは何を支えにしてこの人生を生きていますか。


※『朗読法話集(第二集)』(本願寺出版社 1.200円 電話 075-371-4171)【『朗読法話集(第二集) 正信偈のこころ』として本願寺より刊行されています。】
この本は 「正信偈念仏偈しょうしんねんぶつげ」の 依経段えきょうだん を50編に分け、一つのテーマでひとつの内容を味わっていただけるようになっています。
※本書を朗読し、自分自身が味わいを深めていきたいものです。



今生最後と思うべし 一このたびのこのご縁は 我一人の為と思うべし 一このたびのこのご縁は 初事と思うべし 一このたびのこのご縁は 聴聞の心得


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