「自己の値打ち」 |
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嫁となりて、 | 浮き世の道は、 |
山あり谷あり、 | 水の流れと我が身の命、 |
寸時も休まず | 流れゆく。 |
流れる流れる | 十数年の間に、 |
可愛い我が幼子に | 四人も先立たれ、 |
その度毎に、 | 我が身をそぎ取られる |
思いの日々でした。 | |
水の流れは目に見える | 時の流れは目に見えぬ |
うっかりむなしく | 過ごしてしまう |
しかし、時の流れに | 油断はなく |
人の命は消えてゆく | 流れ止まらぬ今日一日を |
うっかり過ごすことは | できない |
うっかりしておれない | 粗末にならぬこの一時 |
行きて帰らぬ流れに | 人生は今が一本勝負 |
コツコツと時計の刻む音 | せつなせつなに近づく親里 |
年ごとに老いを覚える | 身となりて |
み親の里の近きを知る | |
今日もまた助かって | くれよと たのまれて |
口からこぼれるお念仏 | |
生かされて真実の中に | 今日も生かされゆく |
尊き八十三年 | 今朝のうれしさ |