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*「上手とは人をそしらず自慢せず、 |
身の及ばぬをはじる人なり《 |
この世の様々な人間関係の |
出来事を経験すればするほど |
この句の真実が胸に迫る。 |
ここに上手とは、達人の意味にも |
取られようが、もっと平易に |
「立派にこの世を渡る人、 |
まことの世渡り上手《と味うてみた |
い。もとよりそれは世渡りの技術で |
はない。我われは人の世をすみにく |
いとかこつ。しかし人生の実態に触 |
れてみると、その住みにくさは、人 |
間そのものが宿していることを経験 |
する。「身の及ぱぬをはじる《とは |
決して卑屈になることではない。卑 |
屈とは人に認められようと内心強く |
欲していながら、それのかなわぬ欲 |
求上満の傷心をいう。いまの身の及 |
ばぬはじるとは 大いなる光の前に |
立って自らを自照さしめられ、真実 |
を仰慕し自己を策励せずにおれぬ心 |
である。 |
(先徳の法語) |