《 聖典の講座 》
 
『無常迅速 生死の事大なり』

  
第62回 唯能常称章ゆいのうじょうしょうしょう大意たいい 更新 平成28年10月

 
南無阿弥陀仏とはどういう意味かといえば、 「南無なむ」には 帰命きみょう発願回向ほつがんえこうとの二つの意味があり、また
南無なむ」には願、 「阿弥陀仏あみだぶつ」には行の意味があります。
ですから、自力のはからいを捨て、 二心ふたごころなく
阿弥陀如来あみだにょらい帰命きみょうするそのときに、 如来は 光明こうみょうを放って行者をおさめとってくださるのです。
それが阿弥陀仏あみだぶつの意味であり、また 発願回向ほつがんえこうの意味です。
そこで南無阿弥陀仏という六字は、私たちが浄土に往生できる他力の信心のいわれをあらわした、み仏の名前であるとわかるのです。
それを 『大経だいきょう』の 願成就がんじょうじゅもんには、
聞其名号信心歓喜もんごみょうごうしんじんかんぎ」と説かれています。
聞其名号もんごみょうごう」というのは、ただおおまかに聞くのではなく、 善知識ぜんちしきにあって南無阿弥陀仏の六字のいわれをよく聞くことであり、 そうすれば、浄土に往生することができるのが他力の信心の道理であります。
信心歓喜しんじんかんぎ」とは、信心が決定して往生疑いなしと喜ぶ心です。
阿弥陀如来あみだにょらいのご苦労は言葉にあらわすこともできないほど 尊いものです。
親鸞聖人しんらんしょうにんは ご和讃わさんに、 南無阿弥陀仏の 恩徳おんどくの深さをお示しになっており、また 「正信偈しょうしんげ」にも、
唯能常称如来号 応報大悲弘誓恩ゆいのうじょうしょうにょらいごう おうほうだいひぐぜいおん」とあります。
ですから、いつどこででも、仏恩報謝ぶっとんほうしゃの念仏を 申すべきであります。


※『御文章ごぶんしょう ひらがなばん拝読はいどくのためにー』(本願寺出版社 定価:\756(本体\700+税) 電話 075-371-4171)

  蓮如上人五百回遠忌法要れんによしょうにんごひゃっかいおんきほうよう記念きねんして 『御文章ごぶんしょうーひらがなばん』が ご制定せいていになりました。
本書ほんしょ は、この『御文章ごぶんしょう』を 有縁うえん方々かたがたが、 ただしく 拝読はいどくし、 おきくださった 趣旨しゅしをよく ご理解りかいいただくように 配慮はいりょして 制作せいさくした 解説書かいせつしょです。
御文章ごぶんしょう』は、 蓮如上人れんにょしょうにん浄土真宗じょうどしんしゅうの みおしえの 精髄せいずいを、 人々ひとびと生活せいかつそくしてわかりやすく おきになり、 幾百星霜いくひゃくせいそう脈々みゃくみゃく今日こんにちつたえられてまいりました 宗門しゅうもん大切たいせつ御聖教おしょうぎょうであります。
蓮如上人御一代記聞書れんにょしょうにんごいちだいきききがき』に、 「『御文章ごぶんしょう』は、 凡夫ぼんぶ浄土じょうど往生おうじょうする みちあきらかに うつかがみ」【一七七条】であり、また 「毎日まいにち、 『御文章ごぶんしょう』の とうとい お言葉ことばかせていただくことは、そのつど たから頂戴ちょうだいするようなもの」【二八八条】であると べられている 所以ゆえんです。
本書ほんしょ編集へんしゅう浄土真宗教学研究所じょうどしんしゅうきょうがくけんきょうしょ担当たんとういたしましたが、 勤式指導所ごんしきしどうしょ協力きょうりょくて、 拝読はいどく方法ほうほう考慮こうりょして 本文ほんぶんにわかりやすい 仮名がな拝読符号はいどくふごうし、 研究所けんきゅうしょにおいて、 脚註きゃくちゅう巻末註かんまつちゅうもうけて、 各通かくつう大意たいい解説かいせつするなどの 措置そちこうじました。
本書ほんしょを、 ご制定せいていの 『御文書ごぶんしょうーひらがなばん拝読はいどく手引てびきとして、いつでもどこでも ひもとき、 活用かつよういただくことを 念願ねんがんいたします。

 平成十年十一月十三日
 浄土真宗教学研究所所長
    石田慶和
【「刊行にあたって」より 抜粋】


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