《 聖典の講座 》
 
『無常迅速 生死の事大なり』

第36回 よき人の仰せ 更新 平成26年8月

(偈文) 
よく一念喜愛いちねんきあいしんほつすれば、
煩悩ぼんのうだんぜずして 涅槃ねはんるなり。
         (第三十五話〜三十六話)

 
 承安じょうあん三年(1173年)、 京都の日野の里でお生まれになった親鸞聖人は、九歳から二十九歳まで、 比叡山ひえいざんで仏道修行に励まれました。
煩悩ぼんのうを断ち切る、これがさとりへの道です。
そのためには、きびしい仏道修行に励まなくてはなりません。
それは、強い意志と、恵まれた体力と、 不撓不屈ふとうふくつの精神というようなさまざまな条件が 整って、はじめてなし得ることでしょう。
誰れもができることではありません。
また、修行の道を歩みはじめることができたとしても、最後までその道を歩みつづけることははなはだ困難なことです。
 親鸞聖人も、二十年の間、さとりの実現をめざして、 比叡山ひえいざんで、学問に、修行にひたすら努力されたのです。
しかし、その結果はどうだったでしょうか。
どうしても煩悩ぼんのうを 断ち切ってさとりにいたることができないことに気づかれたのです。
そして、当時念仏の教えをお説きになっていた法然上人をおたずねになり、 煩悩ぼんのうをもったままで救われる 阿弥陀如来あみだにょらい本願ほんがんにあわれたのでした。
 山にこもって修行ができる境遇の私たちではありません。
愛欲あいよくの海のまっただ中に明け暮れている私たちです。
その私たちが救われていく道、それは 阿弥陀如来あみだにょらい本願ほんがんであることを、親鸞聖人はご自分の体験をとおして お示しくださったのです。
親鸞聖人のみ教えと出あうことができた私たちは、その幸せを思わなければなりません。  

(話題)比叡山ひえいざんでの親鸞聖人について、 知っていることを話し合いましょう。


※『朗読法話集(第二集)』(本願寺出版社 1.200円 電話 075-371-4171)【『朗読法話集(第二集) 正信偈のこころ』として本願寺より刊行されています。】
この本は 「正信偈念仏偈しょうしんねんぶつげ」の 依経段えきょうだん を50編に分け、一つのテーマでひとつの内容を味わっていただけるようになっています。
※本書を朗読し、自分自身が味わいを深めていきたいものです。



今生最後と思うべし 一このたびのこのご縁は 我一人の為と思うべし 一このたびのこのご縁は 初事と思うべし 一このたびのこのご縁は 聴聞の心得


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