《 聖典の講座 》
 
『無常迅速 生死の事大なり』

第34回 私に開かれた道 更新 平成26年6月

(偈文) 
如来によらい興出こうしゅつしたまふゆえは、
ただ 弥陀みだ本願海ほんがんかいかんとなり、
五濁悪時ごじょくあくじ群生海ぐんじょうかい如来如実にょらいにょじつみことしんずべし。
         (第三十二話〜三十四話)

 お釈迦しゃかさまがこの世にお出ましになった 目的は、阿弥陀如来あみだにょらい本願ほんがんを説くためだったと親鸞聖人はおっしゃっています。
阿弥陀如来あみだにょらい本願ほんがんは、苦しむ悩む人びとを救う教えです。
阿弥陀如来あみだによらいの救いの道こそ、 私たちのために開かれた、ただひとつの救いの道だったのです。ですから親鸞聖人は 「五濁悪時ごじょくあくじ群生海ぐんじょうかい如来如実にょらいによじつみことしんずべし」と言われたのです。
今の世の中はどんな世の中でしょうか。
今の世の中は五濁ごじょくの世です。そしてその中に生きる 私たちも煩悩ぼんのうよごされています。
そういう私たちであるからこそ、お釈迦しゃかさまをはじめ、諸仏がたが、 「阿弥陀如来あみだによらいの 救いを信じなさい。」とすすめてくださったのです。
ねたむ心にみちみちているこの私、自分のことしか考えないこの私、そんな私がいったいどこに 救いの道を見出すことができるでしょうか。二千五百の昔にお亡くなりになった お釈迦しゃかさまは、私たちに 「弥陀みだ本願ほんがんに生きるほかに救われる道はないよ」と呼びかけてくださったのです。
親鸞聖人は、そのお釈迦しゃかさまのおさとしを、受けとめられたのでした。
親鸞聖人しんらんしょうにんがつねづね おおせになっていたことですが、
阿弥陀仏あみだぶつ 五劫ごこうもの あいだ おもいめぐらしてたてられた 本願ほんがんをよくよく かんがえてみると、それはただ、 この親鸞しんらん 一人ひとりを おすくいくださるためであった。 おもえば、このわたしはそれほどに おもつみ背負せおであったのに、 すくおうと おもたってくださった 阿弥陀仏あみだぶつ 本願ほんがんなんともったいないことであろうか」と、しみじみと おはなしになっておられました。
       【『歎異抄』現代語版四八頁】
という、聖人のお言葉に私たちも耳を傾けましょう。私たちの目の前に開かれている道、それは、 阿弥陀如来あみだにょらい本願ほんがんに生きる道です。


(話題)
現在の世の中はどんな世の中でしょうか。その中に生きる私たちはどんな私たちでしょうか。


※『朗読法話集(第二集)』(本願寺出版社 1.200円 電話 075-371-4171)【『朗読法話集(第二集) 正信偈のこころ』として本願寺より刊行されています。】
この本は 「正信偈念仏偈しょうしんねんぶつげ」の 依経段えきょうだん を50編に分け、一つのテーマでひとつの内容を味わっていただけるようになっています。
※本書を朗読し、自分自身が味わいを深めていきたいものです。



今生最後と思うべし 一このたびのこのご縁は 我一人の為と思うべし 一このたびのこのご縁は 初事と思うべし 一このたびのこのご縁は 聴聞の心得


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